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リブセンスの成功要因 100社以上にビジネスモデルを真似されてもなぜ勝てたのか?

      2015/08/14


他業界に比べても玉石混合のIT業界。毎年多くの企業が生まれては消えていきます。

その中で個人的に注目しているのが、株式会社リブセンスです。

最年少上場企業ということばかり取り上げられて話題先行な部分もありますが、リクルートやインテリジェンスによる寡占状態だった人材サービス業界に、資金力のない学生企業が新しいビジネスモデルで風穴を開けたのはすごいことだと思います。

 

リブセンスの成功要因をビジネスモデルの視点から考察してみます。

 

株式会社リブセンスとは?

◇企業概要

設立年月日:2006年2月8日

資本金:223,460,400円(2014年6月30日現在)

従業員数:正社員 100名、アルバイト・派遣社員 151名

 

◇運営事業

  1. アルバイト求人情報サイト「ジョブセンス」
  2. 転職求人サイト「ジョブセンスリンク」
  3. 派遣社員求人サイト「ジョブセンス派遣」
  4. 賃貸不動産情報検索サイト「door賃貸」
  5. 転職口コミ情報サイト「転職会議」

 

1~4までの事業は「成果報酬型ビジネスモデル」です。

このビジネスモデルを中心に考察していきます。

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◇沿革

2006年2月        早稲田大学在学中に村上太一(当時19歳)が設立

同年4月にアルバイト情報Webサイト 「ジョブセンス」を開設

2008年5月        転職求人サイト「ジョブセンスリンク」開設

2010年4月        賃貸不動産情報検索サイト「door賃貸」開設

2011年12月    東証マザーズに上場  史上最年少記録を樹立(25歳1ヶ月)

2012年10月      東証一部に上場 史上最年少記録を樹立

 

◇売上高推移と内訳

出典元:個人投資家向け会社説明会資料 2014年3月8日付

http://www.livesense.co.jp/ir/presentation.htm

 

売上の大半は、創業時に開設した「ジョブセンス(アルバイト向け)」が占めています。

2013年12月期の売上高と営業利益は下記の通り。

・売上高:42億5,600万円 

・営業利益:15億8400万円

 

特筆すべきは、営業利益率であり「37%」とインターネットメディア事業でも高い数値を示しています。

高い利益率を生み出す源泉の1つはSEOです。リブセンスのSEOの詳細については、こちらの記事が参考になります。

 

説明の事例として、アルバイト求人情報サイト「ジョブセンス」を説明していきます。

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1. 顧客価値

アルバイト情報サイト「ジョブセンス」の顧客対象は以下の2つである。

  1. 求人情報を掲載する企業(採用側)
  2. 求人情報を求める個人(求職者)

金銭をリブセンスに支払うのは1の企業のみです。

しかし2の求職者がサービスを利用することによって、企業がリブセンスに金銭を支払う仕組みであるため双方を顧客と定義できます。

 

◇顧客が知覚したベネフィット

採用企業

・成果報酬型のため、求人掲載時の掛け捨てリスクがゼロ

・少人数の採用でも気軽に求人掲載が行える

・小さなカフェなど小企業でも資金面の負担が少ない

 

求職者

・採用祝い金

 

◇使用に伴って顧客が負担するコスト + 取引購入に伴って顧客が負担するコスト

採用企業:大量の採用を行った場合、負担金額の増加

求職者:採用に積極的でない企業の求人情報も掲載されている可能性がある

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2. 収益モデル

リブセンス:広告(求人情報)スペースの提供

採用企業:必要な人材の採用

求職者:アルバイト情報の取得、職の獲得

 

◇成功の要因

1. 企業にとって掛け捨てリスクゼロで気軽に掲載出来る

2. 気軽に掲載出来るため、求人情報が多く集まりコンテンツが充実

3. コンテンツの充実により利用者が増加

4. 採用祝い金により、求職者がジョブセンス経由で応募するメリットを提案

5. ジョブセンス利用者が更に増加結果、三者市場において、Win-Win-Winの仕組みを作り出した。

 

3. 実現するための仕組み

成果報酬型ビジネスモデルの仕組み

画像出典元:リブセンスコーポレートサイト

http://www.livesense.co.jp/service/model.htm

 

「成果報酬型ビジネスモデル」の内容についてはコーポレートサイトに丁寧に書いてあるので省略します。

このビジネスモデルは非常に優れているのですが、参入障壁が低いため100社以上の競合他社が参入してきました。

 

リブセンスがなぜ競合他社に勝てたのか?

1. 「SEO – 集客力」

彼らは学生企業でありながら、SEOに関するノウハウを内部施策、外部施策ともに掴んでいました。

当初本業で利益が上がらない時期は、SEOコンサルティングとして売上を稼いでいました。

SEOは広告とは異なり、費用は人件費だけでありうまくいけば利益率を高く確保出来ます。

 

SEOによって、広告購入費と営業人件費の両方を抑えることが出来、サイトの内部設計に力を注ぐことが出来ました。

 

営業の人員の割合はわずか6%

出典元:個人投資家向け会社説明会資料 2014年3月8日付 

http://www.livesense.co.jp/ir/presentation.html

 

2. 「先行者利益」

顧客(企業と求職者)のニーズを捉えた優れたビジネスモデルでしたが、参入障壁も低いため多くの企業が参入しました。

しかし競合が増えることによって、同時に「成果報酬型求人情報サイト」という新しいサービスの仕組みが市場に浸透していきました。

結果、第一人者としてリブセンスの知名度が向上し、なおかつ市場規模が大きくなっていった。

 

3. 「既存求人サイトの転換障壁」

アルバイトの求人情報サイト市場にはフロムエーを運営するリクルート、anを運営するインテリジェンスなど掲載保証型の既存大手企業が存在していました。通常ベンチャーが新規参入した場合、既存大手に資金力で潰されてしまいます。

しかしこれらの企業は、成果報酬型へとビジネスモデルを転換出来ませんでした。

 

掲載保証型で求人情報サイトを運営する企業は既に多くの営業人材をかかえており図のように、成果報酬型ビジネスモデルは売上が不安定になるというデメリットも存在するため、リクルートやインテリジェンスは事業モデルを転換することなく顧客層が100%被ることはありませんでした。

 

4. 事業環境

◇スペースが有限の紙媒体から、スペースが無限のインターネットへの移行

 

インターネット普及以前は、求人情報は紙媒体を発行して掲載していました。

紙媒体のスペースは有限であるため、掲載スペースの大きさ等に応じて掲載料金を徴収するというビジネスモデルが当たり前でした。

フロムエー、anなどは、Web版をスタート後も紙媒体のときと同様に、広告掲載スペース等に応じて料金を取っていました。

 

しかしインターネットが普及し、スペースは事実上無限となりました。

それにより、ジョブセンスのような小規模求人を大量に掲載出来るビジネスモデルが実現出来るよう事業環境へと変化しました。

 

◇ビジネスモデルの原点

小さなカフェやレストランなどで、求人の張り紙をよく見かけたがそれらのアルバイト情報をインターネットで検索しても見つけることは出来なかった。

 

その結果以下の問題点が存在した。

小さな企業(採用側)

・人を採用したくても張り紙の求人情報を目にする人数は限られるため、必要な人材の採用を行えない。

個人(求職者側)

・小さなカフェやレストランで働きたくても、求人そのものが見つからない。

結果、双方にとって不利益な状態となっていた。そこを顧客層とした新しいビジネスモデルがジョブセンスです。

 

◇SEOの問題点

SEOはうまく行っているときは非常にコストパフォーマンスに優れた手法ではあるが、Googleのアルゴリズムは常に変化しているため不安定です。

事実、2014年1月~3月にかけて検索順位が低下し、株価の大幅な下落に繋がった。

求人情報「リブセンス」株急落のなぜ SEOがうまく機能しなくなったせい、との見方

 

◇今後の課題

ジョブセンスの強みは、三者関係にある「採用企業」「求職者」「リブセンス」にとってWin-Win-Winのビジネスモデルを構築したこと、他社に真似されても追いつけない盤石な技術力を同時に備えていたことが成否を分けた要因となりました。

その結果、2006年から2013年までは右肩あがりに順調に売上と営業利益が伸びていきました。

しかし2014年、SEO順位の下落とともに営業利益率は大幅に悪化しました。

リブセンス、1-9月期(3Q累計)経常が53%減益で着地・7-9月期も42%減益

 

リブセンスにとって創業後初めて迎えた大きな正念場であり、ビジネスモデルの再構築、新たな収益ラインの確保が必要となっています。

 


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ふくえもん / FUKUEMON
インターネットと英語を駆使して生きる、ネコ型SAMURAI。 飯の糧はWebメディアのマーケティング、Facebook広告を使った集客など。

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