銀座のAmazon Bar(アマゾンバー)初日レポ! レコメンド技術と店舗の相性は
2017/10/24
2017年10月20日(金)〜10月29日(日)まで、東京・銀座にて5000種類のお酒が楽しめる「Amazon Bar(アマゾンバー)」がオープンしています。
このバーはの最大の特長はメニューがなく、専用端末からお客さんが6つの質問に回答してオススメのお酒を提供するというレコメンド技術を応用した実店舗となっています。
レコメンド技術とは、AmazonなどECサイト(ネット店舗)によく利用されている技術です。ユーザーの閲覧、購入履歴、アンケート結果などを分析し、よりユーザーに合った適切な商品やサービスを絞り込んで推薦することにより、売り上げを高めることが目的とされています。
自分の仕事柄、このへんの技術と関わることが多いので、一般的な行ってきた系レポとは視点を変えてビジネスの視点からAmazon Bar(アマゾンバー)をレポします。
↑入店前に注文方法が書かれたカタログを渡されました。
Amazon Bar(アマゾンバー)
■営業期間 : 2017年10月20日(金)~29日(日)
■営業時間 : 17:00 – 23:00 <ラストオーダー 22:30>
■場所(アクセス) : 東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビル1F G735 Gallery
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質問は6種類、一見お酒と関係のない質問も
まず入店時に専用のタブレットから6種類の質問に答えて、ファーストドリンクを選びます。
その前に身分証明書の提示を求められましたが、これは年齢を確認するためだけのものでAmazonのアカウントと紐付けるようなことはありません。
最初に「カテゴリ」(ビール、赤ワイン、ウィスキーなど)を選びます。
自分はまずビールを選択しました。続いて6つの質問が表示され、4択の回答から選択します。
Q1 今日は予定や仕事が、盛りだくさんな1日でしたか?
Q2 今の気分を一言で言うと?
Q3 今サラダにかけるならどのドレッシング?
Q4 今バケットを食べるならどういう食べ方をしたい?
Q5 今したいアクティビティは?
Q6 今観たい、映画のジャンルは?
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ドレッシングの好みやバケットの食べ方は嗜好にダイレクトに影響するのでお酒のレコメンドに役立ちそうですが、映画のジャンルやアクティビティなど一見お酒と関係のない質問もありました。
自分は回答の結果以下のビールをレコメンドされました。
スペインのビール「イネディット」と呼ばれるもので、確かに今まで飲んだことがないビールなので新たな発見というAmazon Barのコンセプトにハマっています。
レコメンドされるのは1種類ではなく、5種類なのですがその中でも特にオススメと表示されていたのがこのビールです。
ちなみにAmazonでは960円(執筆時点)で販売されていますが、バーでは500円で提供されています。
↑注文したイネディットとフードのチーズの盛り合わせ(500円)です。ポッキー、ハムとフルーツはサービスでついてきました。
SNSキャンペーンではお客さんの投稿したSNSを集計
Amazon Bar(アマゾンバー)ではSNSキャンペーンを行っています。
ハッシュタグ #AmazonBar をつけてSNSに投稿するとビールやハイボールが1杯無料になります。
2杯目はせっかくなのでこちらを試しました。
実際にSNSに投稿した画面を店員さんに提示するのですが、Amazon Barでは投稿したSNSをチェックして集計していました。
日本では、Twitter、Instagram、FacebookあたりのMAU(月間アクティブユーザー数)が多いですが、最近は特にInstagram(インスタグラム)のユーザー数、利用頻度が増えています。特にこういった体験をシェアする場としてはInstagramへの投稿が多そうです。
Amazonとしても「体験をシェアするSNS」を集計してマーケティング活動に活用しているのでしょう。
2杯目はSNSキャンペーンを使って、エビスマイスターを飲みました。
レコメンドの盲点 飲みたいお酒に辿り着けない
注文は毎回専用タブレットから6種類の質問に回答して、オススメのものから選びます。
実はこの質問、毎回全く同じです。
そのため、同じビールカテゴリを選択した場合必然的に同じ回答になり、同じビールをレコメンドされます。
お酒を飲むとき、同じビールでも1杯目に飲みたいビール、2杯目以降の少しアルコールが入った後に飲みたいビールは異なる人が多いと思います。
その結果、あえて事実と異なる回答をして違うビールを頼みました。
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こうなると「利用者の趣味嗜好を分析して適切な製品をオススメする」というレコメンドの主旨からズレてしまいます。
また、「焼酎と(一部の)カクテル」が同じカテゴリに属しているのも困りました。
自分は焼酎、特に泡盛が好きなので、いろんな泡盛から新しいものを飲みたかったのですが、回答するとレコメンドされた5種類全てがカクテルでした。
レコメンドでは「あなたは今カクテルを飲みたいですよね?」と勧めてくれているのかもしれませんが、自分の中では焼酎(特に泡盛)を飲みたいと既に決めていました。
そのため、このときもあえて事実と異なる回答をして泡盛をオーダーしました。
レコメンド技術はECサイトで有効な反面、リアル店舗に向かないことも
Amazon Bar(アマゾンバー)には、Amazonソムリエを始めとしてお酒に詳しいスタッフが常駐しています。
上記のような事情をスタッフに話したところ、そのスタッフが良いと考えるお酒をレコメンドしてくれました。
つまり一般的なバーでバーテンダーやソムリエの方が、オススメのお酒を提示するのと同じ理屈です。
Amazonを始めとしたECサイトでは、大量のユーザーを短時間でさばく必要があり、一人ひとり相談しているとコスパが悪くなるのでレコメンドの技術は有効です。
一方でリアル店舗の場合、店舗のキャパに限りもあるためそれほど多くの利用者を同時に相手にすることがなく、また食料品店「Amazon Go」のような買い物と違い、バーの場合1人のユーザーが2時間前後お店に滞在します。
そのため客単価もそれなりに高くなり、人間のスタッフが対応するほうがコスパが良く顧客満足度も高いのかもしれません。
また、今回のレコメンドは6種類の質問と回答の結果という非常に限られた教師データから提供されたものでしたが、ECサイトのレコメンド技術はユーザー属性、購買・閲覧履歴、その他外部データなど複数のデータを元に提供されます。
また、食料品店「Amazon Go」の場合顔認証システムも搭載しているため、将来的にはユーザーの表情や酔い具合などもレコメンド要件に応用出来るかもしれません。
まとめ
今回のAmazon Barは期間限定の実験的な取り組みです。
Amazonも今回のバーで利益を出そうと考えているわけではなく、様々なお酒を体験してもらい、今までネット通販でお酒を購入しなかった層、または購入していても毎回決まったブランドを選んでいる人たちに、新たな体験をしてもらい市場を拡大していくことが目的です。
特に書籍とは異なり、お酒はレビューだけでは購入判断がしづらく、今回のような体験の場が必要です。
今後もAmazonの先進的な取り組みに期待しています。
↑19時のイベントでは、シャンパーニュ・TAITTINGER (テタンジェ)の試飲会があり、すべてのお客さんに無料でふるまわれました
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