Gunosy(グノシー)上場で誰が得をする? 創業者「3.53%」 退社した人「41.12%」の持ち株比率の謎
2015/07/22
第2の「gumiショック」を予感させるGunosyの上場
ニュースキュレーションアプリの筆頭とも言えるGunosy(グノシー)の東証マザーズへの上場が確定しました。
上場予定日は4月28日で、市場コードは、「6047」、主幹事証券は野村證券です。
野村證券が最近主幹事を務めたITベンチャーと言えば、上場ゴールのIPO「gumiショック」で注目と批判を集めているソーシャルゲーム会社のgumiです。
gumiは上場後わずか2カ月半で業績予想を下方修正し、15年4月期は黒字予想から一転4億円の営業赤字に転落することになりました。
その結果gumi株には売り注文が殺到。3月6日、9日に2日連続してストップ安を記録しました。
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株式投資は自己責任ではありますが、gumiが上場ゴールと呼ばれ各方面から批判を浴びている理由は株価下落だけではありません。
・業績修正の翌日には、運転資金のための30億円の銀行借り入れをしていたことを発表
・gumiのCFOが上場後80%の株式を売却(その他役員も大量の株式を売却)
・上場後、gumiの韓国子会社の従業員が数千万円の横領をしていたことを発表
・上場後、100人規模の希望退職を実施
経営陣の株の売り方、資金の運用、各発表のタイミングなど最初から上場ゴールで経営陣と証券会社、ベンチャーキャピタルだけが得をする上場です。
特にgumiの代表取締役である、國光宏尚氏は過去にこのようなIPOを批判する強気な発言を繰り返していたことも原因の一つと言われています。
日本のIPOマーケットは異常。不健全すぎる。企業もVCも証券会社もIPOすることだけが目的になってしまっている。IPO後2年間は少なくとも売上くらいは右肩成長ができる確信が持てるビジネスモデルの熟成、組織力が出来てからでないとIPOすべきでない。
先行投資ではなく逆ザヤなGunosyの現状
今回の上場承認に伴い、GunosyはEDINETにて正式に有価証券届出書を提出しました。
「業績」
第一期の売上高は41万7000円、経常損失は約4500万円で赤字です。
続く第2期は約3億5900万円の売上高、しかしテレビCMなど莫大な広告宣伝費を使ったため経常損失13億6500万円と膨れています。
第3期は約12億7700万円の売上高、約3億円の赤字となっています。
赤字で上場するのかとおもいきや、直近の2015年第3Q単独では約2億円の黒字になっています。
これだけ見ると、先行投資がある程度落ち着き黒字が出てきて業績が順調に見えますがあくまで会計上の数字に過ぎません。
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クォーター単位なら、今まで赤字の原因になっていた広告宣伝費を一時的に抑えれば黒字にすることは可能です。
上場を控えて会計上の数字を整えてきたように見えてしまいます。
創業者兼CEOの株式比率が「3.53%」での上場
株式公開で一番得をするのは誰でしょうか?通常は会社を作った創業メンバーです。
Gunosyの創業メンバーは3名でいずれも東京大学大学院の学生、CEOを務めるのはそのうちの一人である福島良典氏です。
しかし福島良典氏の持ち株比率はたったの「3.53%」しかありません。他にも12億円の巨額出資を行ったKDDIが16%、ベンチャーキャピタル(VC)のジャフコが10%など保有していますがいくらなんでも創業者の比率が少なすぎます。
では誰が筆頭株主なのか? それが去年の8月まで共同代表を務めていた木村新司氏です。
持ち株比率は「41.12%」と、なんと半分近くを占めます。創業者の10倍以上です。
木村新司氏は2013年に共同代表に就任し、主に資金調達を担当していました。
その結果KDDIから12億円など、総額24億円を調達しました。そして1年足らずで代表を退任致しました。
CPA(獲得単価) < LTV(ライフタイムバリュー)になるかどうか
Gunosyの初期は、東京大学大学院生が作った独自のアルゴリズムによるニュース配信が高い評価を得ていわゆるアーリーアダプターと呼ばれるネット上の新しいもの好きな人たちに拡がりました。
ネット上での集客が一定まで達したことで、次にKDDIから得た12億円の資金などを元に大量のテレビ広告を配信しました。
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CM自体はウルトラマンがただ出てくるだけだったり、全くアプリの内容が伝わらないものでしたがネットから情報収集をあまり行わない層に対して、「印象に残ること」と「みんなが使っていることを意識させること」を意図したものであり、戦略としては正しいと思います。
しかし何百万ダウンロード突破!といくら騒いでも、無料アプリである限りダウンロード自体で利益は生みません。
2015年1月時点で、800万ダウンロードを記録していますがこれらのユーザー(+新規ユーザー)から今までの投資を回収し、今後利益を上げていく事業計画が必要です。
その事業戦略がCPA(獲得単価) < LTV(ライフタイムバリュー)になるか、もしくは高い広告料金で無料ダウンロードを買っただけの逆ザヤ状態になるかの分かれ目になります。
GunosyがLTVを生み出すための戦略として昨年発表したのが「Gunosy Platform」と呼ばれるプラットフォーム化です。
これまでGunosyのチャンネルはニュース記事などRSSを吐き出しているところだけに限定されていた。今回のGunosyのプラットフォーム化により、Gunosy上でアクションが可能になる。
ユーザはチャンネルからサービスを選択し、その中で様々なアクションが可能になる。たとえば、DeNAトラベルのチャンネルではGunosy上で旅行の閲覧、検索、予約が可能になったり、RECLOのチャンネルではGunosy上ですぐ商品の購入に移ることができるようになる。将来的には、記事閲覧との融合を目指しているという。
ニュース配信だけではコンテンツに拡がりが出ないため、利益を生むには事業の拡大が必須です。
特にGunosyは、経済情報に特化したNewspicksや女性向け雑誌スタイルのAntennaなどに比べて個性が弱く、良くも悪くも普通です。
そのため普遍的なプラットフォームとして移行していくのは自然な流れですが、ポータルになると競合他社の存在の大きさや、管理面の負荷を考えると茨の道でもあります。
元々Gunosyは精度の高いアルゴリズムが評判になったサービスなので、投資家や証券会社に振り回されるのではなく技術面を強化して着実に生長していって欲しいです。
毎日3〜4回はGunosyのアプリの立ち上げるので、ちょっとした違和感が気になったりします。
最近こういう上の画像みたいなダブリニュース配信が増えてきたので、こういったところから改善していって欲しいです。
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